本事業の一環として大阪大学 物理学系専攻大参研究室の樋口 瑠洸さんが台湾で行われた国際会議:TACT2025に参加して成果発表を行い、Student Oral Presentation CompetitionでBronze awardを受賞しました。
TACT2025への参加報告書 物理学系専攻大参研究室 樋口瑠洸
私は、10/26-29に台北(台湾)で開催されたInternational Thin Film conference(TACT)2025に参加してきました。本会議は私にとって初の国際会議でした。さらに、開催地である台湾に行くもの初めてで、大参先生(自身の指導教員)は会議3日目からの参加ということで、2日目までは初の一人海外という、初めてのこと尽くしの予定に不安を抱えていました。しかし、台湾は、食事・治安・交通など日本と大きな違いはなく(コンビニだけは独特な匂いがするというタレコミあり)、困ることはあまりないだろうという事前情報を聞いていました。桃園国際空港に到着し、考えれば当然ですが、どこを見ても中国語で表記されており、その漢字一面の世界に圧倒されながら、初国際会議への挑戦が始まりました。
台湾の町並みは思っていたよりも都会で、高層ビルも多く、基本的には日本と変わらない一面もありながら、中華系を思わせる面や、屋台も豊富に存在しており、近代感と歴史の融和を奏でていました。また、縦横無尽に駆けていく原付、親子三人乗りの原付、どう考えても多すぎるコンビニの数がそう感じさせるのか、活気に溢れており、半導体分野で世界を席巻している台湾の勢いに刺激を与えてもらいました。




会議初日は、会場や発表、質疑応答の雰囲気を掴むため、会場に赴き、質疑応答の英会話が半分程度しかわからないことに戦々恐々としました。私は自分の英語能力に自信がなく、質疑応答を心配していました。しかし、初日に英語力不足を痛感したことで、質疑応答は流れに任せるとして、発表は完璧にするため、寸前まで練習しようと切り替えました。そこから、3日目の発表までは、会場で発表の合間に資料を確認し、ホテルでは、隣人にクレームを言われるか、一人で話している変人だと思われてしまうのでは、というほど練習を行いました。ホテルの傍にあったコンビニでエスニックな香りに包まれながら買い物をし、息抜きしたのをよく覚えています。発表当日は、練習の甲斐もあって、発表をやり切り、質疑応答も拙い英語でしたが、何とかやり取りすることができました。また、発表後には、同分野の研究をされている九州大学のAhmed准教授からお声をかけて頂き、意見交換などもできました。最大のミスは、紺色のスーツと黒い会場の壁が見事に融合し、顔だけが浮いている発表者のようになってしまったことです。次回への反省といたします。そんな失敗などもありましたが、発表練習と、大参先生の手厚いご指導を賜ったことで、発表では、Student Oral Presentation CompetitionでBronze awardを受賞させていただきました。今回の国際会議は、似た分野の先生方などと意見交換やアドバイスを頂ける機会に恵まれ、得難い貴重な経験となりました。また、単純ではありますが、世界中の研究者との英語を用いた質疑応答、お互いの研究分野について語る姿はカッコよく、憧れを感じました。学会聴講でも、近年注目されているリチウムイオン電池、太陽光発電、次世代2D半導体材料WS2など、異分野の最先端な研究について知ることができ、今までにない経験ができました。私自身は、次世代パワー半導体材料や量子デバイス材料への応用が期待されるダイヤモンドの研究を行っています。国際学会は、研究の流行を掴むこと、ダイヤモンド以外の半導体材料や、電気化学分野への知識を深めることで、ダイヤモンド、ひいては自身の研究の新たな可能性を発見する糸口になると感じました。これを糧、また原動力としてこれからの博士後期課程も精進していきたいと思います。さらに、3日目は学会主催の宴会もあり、その場でも韓国や台湾の先生方と、研究の話や雑談などコミュニケーションをとることができ、非常に濃密な一日となりました。








4日目には、学会ツアーが開催され、淡水という街を観光しました。非常に綺麗な街並み、台湾の歴史、伝統的な食事を楽しむことができました。私は沖縄出身であるため、特に食事は親しみのあるものが多く、図らずも地元の風を感じることができました。このツアー道中のバスでも、ドイツからの先生と話す機会があり、本当に多くの先生方とコミュニケーションをとれました。次回からは、英語力の向上と共に、人脈を広げることにも精力的に取り組むという目標もできました。
最後に、国際会議という貴重な経験を通して得た学びをこれからの学生生活に活かして、研究に励む所存です。まだまだ若輩の身ではありますが、今回のような経験を積んで成長したいと思っています。まずは、繰り返しになりますが、専門の勉強と並行して英語力を高め、各国の研究者と、より深く、有意義なコミュニケーションがとれることを目標とします。
この度の、国際会議への参加、発表彰の受賞、その他多くの貴重な経験は、日頃から真摯な指導を賜りました指導教員の大参宏昌教授、同研究室の垣内弘章准教授、竹内昭博先生、大学生活を支援していただいております両親、日々共に研究に勤しんでいる同輩諸氏、様々な方々のご協力のもと成り立っております。この場をお借りして、感謝申し上げます。また、本活動は、渡部平司教授を筆頭とする大阪大学大学院工学研究科付属フューチャーイノベーションセンター先端半導体グループのご協力のもと、大学教育再生戦略推進費半導体人材育成拠点形成事業の支援を賜り、参加が叶いました。重ねて、厚く御礼申し上げます。
