実践講座
この講義では、半導体産業の全体像を学びます。スマートフォンや自動車、通信機器など、半導体が使われる場面(ユースケース)を知ることで、「半導体ってどんな仕事につながるの?」がわかります。
半導体業界の専門家やコンサルタント、回路設計や製造装置のプロなど、さまざまな分野の講師が登場します。
オンライン配信や動画講義に加えて、企業の人と直接話せる対面講義もあります。
日本最大級の半導体展示会「SEMICON Japan」に行くツアーを企画します。展示会では最新技術を見たり、企業の人と交流したりできます。修士1年生にとっては、進路を考える大事な時期なので、業界を知る絶好のチャンスです。
実践教育&実習
パワーデバイス(大阪大学・京都大学)
パワーデバイスは電気を効率よく使うための重要な部品です。スマホの充電器や電気自動車など、身近な製品にも使われています。
大阪大学では、電気回路の基礎から部品の仕組み、回路設計までをまとめた教材を使って学びます。動画講義を配信し、関西の大学で共有します。
次世代のパワーデバイスに使われる新材料「SiC(炭化ケイ素)」を使った実習を行います。大阪大学のクリーンルームで、実際にデバイスを試作し、性能を調べる体験ができます。安全教育も含めて、春や夏の集中実習を予定しています。
こうした実習ができる大学は日本でも限られています。さらに、京都大学では高温や高電圧での性能評価ができる設備があり、最先端の研究に触れられます。
半導体の材料や構造を詳しく調べる大型分析装置を導入し、希望する学生には講習会を開いて使い方を学べるようにします。これをきっかけに、学生同士の共同研究も期待しています。
回路設計(京都工芸繊維大学)
スマホやパソコンの中には「集積回路」という小さな電子回路がたくさん入っています。回路設計はこれを設計する技術で、半導体の世界でとても重要です。
京都工芸繊維大学では、FPGAという回路を使った設計演習をすでに行っています。このプロジェクトでは、その演習をさらに広げて、MOS集積回路の設計まで学べるプログラムを作り、他の大学にも展開します。
学んだ設計を実際のデバイスと結びつけます。具体的には、自分で設計したマスクを使ってMOSFETという半導体部品を作り、その性能を調べます。京都工芸繊維大学には、クリーンルームでデバイスを試作できる設備があり、そこで「設計→製造→評価→改善」という半導体開発の基本サイクルを体験できます。
この一連の流れを学べる大学は限られています。こうした体験を通じて、産業界で求められる「設計から製造まで理解できる人材」を育てます。
フォトニクス(神戸大学)
フォトニクスは光を使って情報を伝えたり処理する技術です。スマホやインターネットの通信をもっと速くするために、次世代の技術として注目されています。
光を使った技術(レーザー、LED、光センサーなど)について学びます。神戸大学の講義に加えて、大阪公立大学や京都工芸繊維大学とも連携し、企業の最先端技術者(TSMC、マイクロン、富士通、NTTなど)による特別講義もあります。大学院生向けですが、学部生や高専生も参加できます。
神戸大学の「微細加工プロセス技術センター」で、光を使う部品を作るための加工技術を体験します。具体的には、フォトリソグラフィという技術を使って、光を通す道(光導波路)やフォトニック結晶を設計・作製します。
TSMCなどの企業でインターンシップを行うチャンスもあります。世界の最先端技術に触れられる貴重な機会です。
製造技術(大阪公立大学)
製造技術は半導体を作るための「ものづくりの技術」です。スマホやパソコンの中にある小さな部品を、どうやって作るのかを学びます。
大阪公立大学では、半導体を作るための基本技術を学べる講座を学生にも開放します。ここでは、「デバイスを作るプロセス」、「配線を作る技術」、「材料を積み重ねる技術(エピタキシャル成長)」、「微細なパターンを作る技術(リソグラフィ)」など、半導体製造に必要な幅広い知識を学べます。
実際に半導体デバイスを作ってみます。「電子デバイス(MOSFETや化合物半導体)」、「光デバイス(LEDや太陽電池)」を試作し、性能を調べます。さらに、配線を作るメッキ技術や微細加工、デバイスのシミュレーションも体験できます。学生の興味に合わせてテーマを選べるのもポイントです。
微細なパターンを作るフォトリソグラフィ装置、金属を薄くコーティングする蒸着器やスパッタ装置、作ったデバイスを観察するレーザー顕微鏡などの設備を使って、最先端の製造技術を学べます。





